三浦展氏の「これからの日本のためにシェアの話しをしよう」を読んで、感じることがあったので、久しぶりに投稿。
●シェアとは何か?
最近、ちらほら耳にする「シェア」という言葉。
ワークシェアリング、カーシェアリング、ルームシェアなど。
シェアというと、シェア=共同利用 または中古品の購入をイメージしがちであるが、
ここではシェアを広義で捉えている
例えば、
空間の共有 → シェアハウス
(キッチン、リビング、トイレなど、空間を共有すること)など
物の共有 → カーシェアリングなど
分担としてのシェア → マンションの自治会活動など(社会の中で直接自分に利益は
ないことでも、責任や義務によって一定の役割を果たすこと)
知識のシェア → 著名人の講演会など
先日、京都の相国寺で開催されている浮世絵展に行ったが、江戸時代に
タイムトリップしたようで、これも時代のシェアかもしれない。
ワールドカフェなんてのは、まさに経験のシェアだ。
このように考えていくと、シェアとは、つながることと近しい。
●何故シェアなのか?
筆者曰く、
・超高齢化社会により、高齢者へのケアが必要なこと
(高齢者が自立しつつも、社会的な生活を送るには、シェアがよりよい手段であるこ
と)そういえば、私の子供の頃通っていた小学校の半分のスペースが老人ホームと
なり、お年寄りが、小学生と話すことで元 気になったと数年前、新聞で取り上
げられていた。
・コミュニケーション、共感の重視
物を私有するという物質主義的な幸福感より、他人とのコミュニケーション、
共感に喜びを感じる人が増えているということ
80年代までは、haveの時代、所有、私有の拡大に喜びを見いだしていた時代
90年代は、beの時代、自分らしさとは何か自分探しの時代
2010年代〜 shareの時代、他者との関係、繋がりの時代
by. カルチャースタディーズ研究所
だそうだ。
自分自身に当てはめてみると、
90年代は20代だったもあり、まさに自分探しの時代だった。
「けいこと学ぶ」や新聞の「求人広告」には、良く目を通した。
(実際、色んなスクールに通った。転職を考え履歴書を送ったり、面接まで行った
こともある)
2000年代は、日本ファシリテーション協会と出会い、現在でも人との繋がりや
仲間と何かを創り上げることに喜びを感じている。
・情報化社会
インターネットの普及により、ネット社会が充実。Facebook,Twitterと、
ネット上で皆繋がりを求めている。インターネットに対する信頼性も、
高まりつつある。
●シェア型社会で上手く生きるには
私自身、シェア型価値観を受け入れるかどうかに関しては、間違いなくYesである。
・わざわざ阪神百貨店まで行って5分以上並んでワインを買うのは、販売員の語りを
通じてワイナリーのこだわりを頭で、舌で味わいたいからである。
・日本ファシリテーション協会をはじめ、知人を通じて色んなワークショップに
ファシリテータとして、参加者として参加 するのは、知識と経験を共有したい
からである
・いろんな仲間と飲みにいくのは同じように知識と経験を通じ楽しみたいからである
・家を買いたいと思っているが、建て売りのマンションや新築の家に魅力を感じない
のは、高額な買い物にしては、プロセスがつまらないからである
(只今、中古でリノベーション可能な物件物色中)
繋がりたいが、縛られたくない シェアハウスを求める若者の価値観らしいが
まさにそんなところだ。
そのためには、個人が、「自立」していること が重要なポイントだ。
●シェア型は儲かるか
私有化=物が売れる(新製品の購入)
シェア=物が売れない(リユース)
に思えるが、ビジネスとしてシェア は成り立つのか。
本書には、面白い事例があった。
これまで、農作物を育て売ることで生計を立ててきた農家が、今は
「農作という体験」を売るのだという。つまり農地を貸して週末は借り手が
畑の手入れを行うが、平日は借り手に代わり手入れを行い、
その分管理費をもらうのだそうだ
物を売る経済からサービスを売る経済、サービサイズへ。
アフターメンテナンス、サービスも含めエコシステムトータルでを考える時、
一社のみならず、色々な業種、業態の参画が必要になるのだろう。
●家電の進化
これまで、物を売る経済で成長して来た日本の家電メーカー。
そのビジネスモデルもデジタル家電の価格下落と共に崩れつつある。
今後、家電もシェアされる時代になるのだろうか。(すでに、シェアハウス
では、大型冷蔵庫のシェア等、存在するが)
ハードウェアのシェアはまだ少ないが、ソフトウェア=コンテンツのネット上
でのシェアは、当たり前になりつつある(デジカメ映像など)
家電がシェアされたら、家電自身や売り方も代わるのかもしれない。
例えば何をどれだけ洗ったかによって、課金がかわる洗濯機とか
ムービや一眼レフ高級デジカメの貸し出しサービスとか(これは既にありそう)
なにはともあれ、自社だけで儲けるのではなく、お客様のベネフィットは当然の
ことながらパートナー会社や流通と共に社会システム全体が考えることが
鍵になりそうだ。